哲学専修紹介

「哲学(philosophy)」という言葉は「知恵(sophia)を愛する(philein)こと」を意味する古代ギリシア語に由来しています.物事に対する既成の説明に簡単に納得することなく,また,多数者の通念や日々の人間関係の力学に束縛されることなく,自分の言葉で丹念に問い直し続けていくこと,そこに哲学という学問の本質があります.存在するとはどういうことか,認識するとはどういうことか,行為するとはどういうことか等,世界や人間の根本問題を言語によって徹底的に考え抜くということが哲学の課題です.

哲学には方法論があります.まず第一に,物事を考えるための栄養分として必要な,基本的な教養をしっかりと身につけること.古代から現代に至る優れた哲学者の残した書物に触れる中で,私達は,丹念にそして正確に物事を考えるとはどういうことかということの優れた実例に触れ,自分の物事を考える枠組みを広げていくことができます.そして第二に,自分とは違うものの見方と出会い,自分のものの見方をより柔軟かつ堅固な仕方で組み立て直しながら,前提それ自体を深く吟味し,問題の本質に迫ることを可能にするディアレクティケー(哲学的問答法)の方法論を習得すること.そして第三に,自分の考えを他者に説得的に伝えることを可能にする,弁論術的言語能力を鍛え上げること.哲学専修は,このような志を持つ学徒が集うアゴラ(広場)です.

混乱の度を深める現代世界の中で,物事を根本から問い直す能力を身につけることは,個人として生きるうえでも,社会人としても.とても大切なこととなっています.千葉大学の哲学専修には,古代ギリシア哲学から近代哲学,現代哲学,そして応用倫理学(生命倫理,環境倫理等),さらには中国哲学に至るまでの充実した教員が揃っており,我が国屈指の哲学研究・教育の拠点の一つです.